秘められた、バルトの輝きを求めて
バルト海に面し、北からエストニア・ラトビア・リトアニアの順に位置する「バルト三国」は、800年以上の歴史を密やかに紡いできた国々です。地理的、歴史的共通性から、なにかと一括りで捉えられがちですが、それぞれに異なる言語を話し、独自の文化を育んできました。3都共に世界遺産に登録され、絵本のような街並や、艶めく石畳の道が私たちを中世へと誘います。美しい建物と重ねられた歴史、そして繊細な技が光る手仕事の数々――旅人を惹きつける輝きが、街中にちりばめられています。
新しい発見と感動が待つ世界一周クルーズの資料をお届けします[無料]
文・構成 / 編集部 写真 / PEACE BOAT
秘密のヴェールのその向こうに
バルト三国が歴史に名を刻むのは13世紀頃。周辺強国の支配のもとハンザ同盟に加盟、交易拠点となったことで経済的発展を遂げました。それらの名残は今もバルトの国々に深く息づき、旧市街を歩けばドイツ、北欧、ロシアの影響を受けた建物がずらりと並び、食文化にもそのエッセンスが織り交ぜられています。他方で、新しいものを積極的に受容するエストニア、自然を崇拝し素朴で大らかなリトアニア、その両国の良さをバランスよく取り入れたラトビアと、国のもつ気風は三者三様のよう。その素顔にふれ、歴史を語る街に踏み出します。
中世の足跡を探して
バルト三国最北の国エストニアの首都・タリンへやってきました。まずは街の全景を見ようと、旧市街の山の手にあるトーンペアの丘に登ります。展望台からは街を囲む城壁や塔、赤い切り妻屋根の家々が並ぶ、物語の世界を思わせる光景が一望できます。壁や店先を彩る紋章や意匠の美しさに見惚れながら路地を下り、活気あふれるラエコヤ広場へ。旧市庁舎や愛らしい色合いの建物が四方を囲み、開けた空の下カフェやレストランが賑わいをみせています。中世の衣装で料理をサーブするウェイターさんたちが、道行く人の目を楽しませてくれます。
石畳の路地を歩いていると、どこからか鐘の音が。その厳かな音色につられて入ったのは、14世紀に建立されたタリン最古の聖霊教会。ここは初めてエストニア語での説教が行われた場所なんだそう。文字が読めない人のために教会内のステンドグラスには聖書の内容が描かれ、他国の支配に苦しむ人びとの心の拠り所となりました。静謐な空気をまとったまま外へ出ると、今も時を刻み続ける17世紀の大時計が目の前に。中世から現在へと果てしない時間を重ねたタリンの街が、秘めたる扉をそっと開けてくれたような気がします。
凛とした佇まいをみせる古き良き街
「バルトの貴婦人」と称えられるのは、ヨーロッパの影響を受けたクラシカルな雰囲気ただよう、ラトビアの首都リガ。かつてハンザ同盟の中心的な街として一世を風靡した、バルト三国最大の街です。見どころは「ユーゲントシュティール」と呼ばれるアール・ヌーヴォーの建築群。壁を覆いつくす自由奔放な装飾やモチーフは、建物というよりアートのよう。その数は欧州一とも言われています。他にも123mの尖塔が美しい聖ペテロ教会や、ロマネスク、ゴシック、バロックが融合したリガ大聖堂など、リガは建築好きをも唸らせる街です。
名の知れた建物だけでなく、たとえば店の軒先を飾る看板に注目するのも楽しい。ビール樽やフライパンなどパッと見てわかるものから、「これは何の店?」と思うものまで実にさまざま。創意工夫に満ちたデザインからは、街の文化を支え続ける職人たちの心意気を感じます。リガをもっと知りたくなったら、かつての飛行船格納庫を利用した新市街の中央市場へ。歴史の遺産が生活感みなぎる街の台所へと生まれ変わり、美しい旧市街とはまたちがった顔を見せてくれます。リガ産の地ビールを飲みながら行き交う人を眺め、旅の余韻にひたります。
手仕事は伝統と誇りの結晶
街自体が芸術品のようなバルトの国々。おみやげ選びも至福の時間、予算オーバー覚悟で臨みます!道すがら入った雑貨屋さんでは、伝統模様の入ったミトンを見つけました。色や模様は地方によって受け継がれ、編み込まれる模様は祈りの象徴とも言われるそうです。良質なハチミツが採れるバルトの国々、蜜蝋キャンドルやハチミツから作られた石けんも人気です。ぬくもりを感じる雑貨は、おみやげと言うよりまさに「手仕事」。厳しい自然や他国の支配の中でも、たくましく生きてきた人びとの暮らしに根ざした、宝物のような品々に出会えます。
この記事に関連する記事
この記事を読んだ方へのおすすめクルーズ
-
2745view
-
987view
-
941view
この記事に関連する記事
この記事を読んだ方への
おすすめクルーズ
パンフレットをお届け!
今資料請求をいただいた皆さまには、世界一周クルーズがもっと楽しみになる情報が満載のパンフレットをお送りします。この機会にぜひ資料をご請求ください。