お酒で楽しむ世界一周−1−
ボトルやシェイカーを投げたり回したり…華麗なアクションで見る者を魅了し、魔法のように鮮やかに美味しいカクテルを仕上げ、提供する技術を持つバーテンダーは「フレアバーテンダー」と呼ばれます。世界60ヶ国以上で992店舗を展開するアメリカンカジュアルダイニング『T.G.Iフライデーズ』の所属バーテンダーによる世界大会でチャンピオンとなった、マークさんに旅とお酒のマリアージュを伺いました。
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山田 寛之/MARK
2012年『T.G.Iフライデーズ』のバーテンダーチャンピオンシップ世界大会で優勝。ほか、国内外でコンペでの優勝・入賞多数。各地でショーをしながら、世界のお酒の楽しみ方を伝えている。
トム・クルーズが火付け役
日本にフレアバーテンダーが知られるようになったのは、1989年公開のトム・クルーズ主演の映画『カクテル』が流行ってからでしょうか。2008年に、anfa(アンファ/全日本フレア・バーテンダーズ協会)ができて、全国各地でテクニック講習会が開かれ、ショーでフレアを広める活動がされるようになりました。僕は、最初はバーテンダーを目指して専門学校に行き、バーテンダーとして働き始め、T.G.Iフライデーズに転職したのをきっかけにフレアの世界に足を踏み入れました。フレアは、ショービジネスの世界です。音と光とパフォーマンスの組み合わせですから、ダンサーの方と練習方法やこだわり方は近いかもしれません。
優雅に浮かぶ白鳥も、水面下の足はバタバタしているもの
華やかなショーですが、ショーに至るまでは地道な作業です。例えば、通常はバーテンダーがお酒を量るのにメジャーを使うのを、フレアでは『ボトルを逆さにして、ボトル内の空気が移動しきって、カウント4で大体30ミリ』など、とにかく感覚を身体に叩き込みます。そしてレシピに合う曲や照明を選び、ショーにしていきます。あとは、練習用の空き瓶を手に入れるのも大変。スポンサーのボトルを使ってショーをしますが、海外のブランドだと、まずは日本のどこで扱っているかを探すところから始まります。僕らも練習の時には、じゃんじゃん割るので一本でも多く空き瓶がほしい。昔、マリブの瓶が空いてたんで練習用に何本ももらって来たんですけど、そのまま持ってカラオケ行ったら店員さんに「捨てておきますよ」って。そりゃ普通の人からしてみたら、ゴミですよね(笑)
恋のはじまりが、世界一へのはじまり
映画『カクテル』のトム・クルーズの演技指導って、当時ニューヨークにあった、フライデーズ一号店がしてるんです。「誰がトム・クルーズに指導をするのか?」「一番うまいやつがやろうよ」と、始まったのがフライデーズのNo.1をきめる大会です。現在の世界中に系列店を持つフライデーズは、日本をはじめ世界各地域での大会と各地で勝ち上がってきた人が競い合う世界大会を実施しています。実は、僕は、大会に出場することには興味がなく(笑)個人として難しい技や人と違う技を極める方に意識が向いていたんです。
だけど、日本大会で3位入賞すれば時給があがると聞きまして(笑)当時お付き合いをしていた方が、海外留学が決まっていたので、お金を貯めてどうしても会いに行きたかったのです。時給アップ(=入賞)を目指してエントリーをしたら、まさかの優勝。その後もオセアニアを含めた大会で勝ち進み、テキサスでの世界大会決勝への出場きっぷを手に入れていました。決勝は、世界から10名が勝ち上がってきていて、米国は店舗数が多いこともあり代表が6名、ヨーロッパ代表が2名、中南米代表はドミニカの方でしたね。そしてアジア代表が僕。最高潮にワクワクしました。
誰かのものさしで測られたくない
でも、このときの僕は英語が全くできなくて。英語でのコミュニケーションが取れないから、大会がはじまってすぐは誰からも相手にされませんでした。言語でのコミュニケーション取れないことを「ホスピタリティとしてどうなのか」と問われて、点数を入れてもらえないということもありました。でも、英語圏外でバーテンダーとして頑張るみんなのためにも、英語を喋れなくても勝てるっていうのを見せたかったんです。フライデーズの大会って、フレア以外の部分が結構重要で、レシピテストとスピードメイキングっていう課題が与えられます。ここでは、言語問わず点数が取れます。この、言語を問わずに身体に叩き込んできた技術で点数が取れる部分がとくに高く評価され、世界大会で優勝することができました。
世界への扉。きっかけはいろいろなところに
世界大会での優勝をきっかけに、海外への興味の扉が開きました。優勝した翌年からカナダへのワーキングホリデーに行き、ここで生きた語学を学びました。コミュニケーションの幅が広がると、それはそれでまた面白いということもわかりましたね。その後は、海外に滞在しながら世界大会に挑戦してく仲間がいたので一緒にインドネシアのバリに行って。世界のトップ中のトップと切磋琢磨しながら生活してました。
本当に、振り返るとなにがきっかけで人生が転がっていくかはわからないものだな、と。自分の思いもしないことでも、挑戦してみると、思わぬ結果がついてくるものなのかもしれません。
メッセンジャープロジェクトのメンバーとして、2023年にピースボートクルーズに乗船したマークさん。
後編では、世界各地にあるお酒の文化についてお話しいただきます。
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