青と白の絶景が待ち受ける地球最後の秘境、南極へ
雪と氷に覆われた大地や氷山の美しい造形、そして凜と澄み切った清らかな空気――感動の絶景が待ち受ける南極大陸は、時に「地球最後の秘境」と呼ばれます。これまでピースボートクルーズに何度も乗船し、この最果てに残された秘境へも5回訪れている写真家の水本俊也さんの撮影した臨場感あふれる写真の数々とともに、編集部が南極への旅へ――未来へと受け継ぐべき美しい地球の表情と魅力をご紹介します。
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◆水本俊也さん 写真家
鳥取県出身。学生時代にヨット部に在籍、海をこよなく愛す。客船写真師を経て、フリーの写真家となる。2004年よりピースボートクルーズに乗船し、世界各国で撮影を続けている。日本写真家協会会員(JPS)、同国際交流委員会委員長(2015年~)。
文・構成 / 編集部 写真 / 水本俊也
地球最後の秘境、南極大陸へ
南極点を中心に広がる南極大陸の面積は、およそ1,300万平方キロメートル。日本の国土の約37倍もの大きさです。大陸の大半は厚く巨大な氷に覆われ、露出している黒々とした岩肌は、沿岸の一部や山々の頂上付近に見られるのみ。厳冬期にはマイナス80度にも達する、まさに極限の大地です。調査の蓄積や技術革新により、現在では夏季の数か月に限り、一般の人も”観光”で訪れることができます。 南極旅行の玄関口となるのは、アルゼンチンの最南端に位置する街ウシュアイア。南極まではおよそ1,000キロメートルの旅路です。
世界一の海の難所ともいわれるドレーク海峡を抜けた先辿り着くのは、南極半島の玄関口というべき、南シェトランド諸島です。船の行く手に巨大な氷山が出現すると、いよいよ南極が近づいてきた印。独特の青色をした巨大な氷の造形は、得も言われぬ美しさです。 南極大陸を旅する――なんとも冒険心をくすぐる響きですが、人類が到達したのは19世紀になってからのこと。それからもこの地を訪れることができたのは、重装備の探検家や観測隊など、一部の限られた人びとのみでした。
青と白の大地で出会う手つかずの大自然
南極旅行のハイライトは、美しい光景と、ここでしか見ることのない野生生物との出会い。躍動感あふれる姿を見せるペンギン、氷の上でのんびりと寝そべるアザラシ、そして大空を自由に翔る海鳥たちなど、厳しい環境でたくましく生きる生物たちの姿に心が揺さぶられます。南極の海では、餌を求めてやってくるザトウクジラに出会うことも。しぶきを上げながら自由に泳ぐ雄大な姿は、生命力に満ちています。 南極の陸地へと上陸するために使用するゾディアック・ボートなら、大きな船では近づけない小島や氷河などにも接近可能です。
絶景の広がる南極半島
南へ、さらに進路を進めます。南シェトランド諸島を南下した先に見えてきたのが”南極半島”です。ほぼ全域が氷河に覆われており、その標高は約2,000mにも達します。南極半島を代表する景観のひとつ、穏やかな自然港”パラダイスベイ”は、雪に覆われた山々や氷の絶壁、さまざまな形の氷山に囲まれた美しい湾です。時に「地球上で最も美しい湾」と称されるパラダイスベイ。静寂に包まれた青と白の大パノラマは、天国の名にふさわしい絶景です。 地球の最果てで、日々、昨日の感動を超えていくような絶景の数々と出会う体験は、まさに一生の宝物です。
地球環境を未来へとつなぐために
想像のスケールを遥かに越える圧倒的な大自然をその目で見ることは、現在南極が、そして地球環境が置かれている状況について関心を持つきっかけにもなります。 人類が南極に到達して以降、世界の国々がこの地に進出しました。科学技術の発展とともに極地研究や地球の歴史の解明、宇宙の中の地球の観測が進む一方、人間の行動による環境への影響も懸念されています。時代とともに役目を終えて放棄された廃基地が点在する荒涼とした光景は、これまで人類が残した環境への負荷の証でもあります。
この地を撮影し続けている水本さんは、「南極では自然が創り出す素晴らしい景色を見ることができるけど、それと同時に、人類による負荷の実態があることも知っておいてほしい。大切なことは、南極の美しさを知ること。そして後世に語り継ぐこと」と南極を訪れることの意義を語ります。南極条約によって国際的に守られ、地球上で唯一どこの国にも属していないこの地は、すべての人びとにひらかれた、未来へと守り継ぐべき場所です。
この南極の景観こそ、次の世代へとつなぐべきバトンなのかもしれません。
※ピースボートクルーズでは、南極専用客船をチャーターして南極大陸へと上陸するオーバーランドツアーを企画しています。
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