06.10
ドーバー海峡とは?歴史やクルーズで航行するドーバー海峡の魅力
イギリスとユーラシア大陸を結ぶ主要な連絡拠点として、多くの船が行き交うドーバー海峡。約34㎞の幅の海峡を横断するために、これまで遠泳や気球、飛行機、フライボードなど、さまざまな手段で多くの人が挑戦してきた歴史があります。
この記事では、ドーバー海峡の歴史や通行手段などを紹介します。2026年にドーバー海峡を航行するおすすめのクルーズプランも掲載しているので、ぜひドーバー海峡の魅力を知っていただき、次の旅行の参考にしてみてください。
目次
ドーバー海峡とは
ドーバー海峡とは、イギリス(グレートブリテン島)とフランス(ユーラシア大陸)を隔てるイギリス海峡の最狭部をいいます。なお、ドーバー海峡はイギリス側の呼び名で、フランス側ではカレー海峡と呼ばれています。
「ドーバー」はイギリスの地名で、ロンドンから鉄道で約2時間の場所に位置する港湾都市です。街の主な見どころは、石灰岩でできた美しい景観の白い崖をはじめ、ドーバー城やドーバー博物館などがあります。
一方、「カレー」はフランスの地名で、パリから305㎞離れた場所に位置する港湾・工業都市です。伝統的な織物工業をはじめ、食料品、化学、製紙用パルプなどの工業が盛んなことで知られています。
ドーバーとカレーは海を隔てて約34㎞の距離にあり、この幅こそがドーバー海峡です。
ドーバー海峡の歴史
ドーバー海峡は、河川の流れで浸食されてできた谷が後氷期(約1万年前から現代までの時代)の海進によって沈水して形成されたと言われています。イギリスと大陸をつなぐ海上の要所として貿易船が行き交うだけではなく、1588年のイングランドとスペイン無敵艦隊のアルマダ海戦をはじめ、第2次世界大戦中の連合軍のダンケルク撤退など、歴史的な戦いの舞台にもなっています。
そんなドーバー海峡では、さまざまな手段で横断しようと挑戦する人が後を絶ちません。なかでも、よく知られているのが「遠泳」です。1875年にイギリスの軍人マシュー・ウェッブが21時間45分で泳ぎきったのが最初といわれています。その後は挑戦者が続々と現れ、日本人では1982年の大貫映子さんが最初の横断者となりました。現在は海峡横断協会が主催し、達成者の記録を認定しています。
他にも、「気球」を使った横断の挑戦は遠泳よりも古く、1785年にジャン=ピエール・ブランジャールたちが水素ガス気球で横断に成功しました。その後、1909年には「航空機」、2004年には「水陸両用車」を使用してドーバー海峡横断に成功した記録が残っています。
最近では、フランスの発明家が空飛ぶマシン「フライボード・エアー」を使って2019年にドーバー海峡横断に挑戦しています。7月の初挑戦は給油がうまくいかず失敗に終わったものの、8月に再挑戦して、見事横断に成功しました。
ドーバー海峡の通行手段
次に、ドーバーとカレー間を通行するための交通手段を2つ紹介します。
フェリーでドーバー海峡を渡る
ドーバー海峡のドーバーとカレー間では、現在3つのフェリー会社が1日あたり最大36便ものフェリーを運行しています。潮流の影響などで季節によって異なりますが、所要時間は約1時間30分です。
フェリー会社によっては、ペットの乗船や自動車の乗り入れが可能で、イギリスとフランスの両国の人々にとってドーバー海峡を渡るために欠かせない便利な交通手段となっています。
ユーロスターでドーバー海峡を渡る
ドーバー海峡には、イギリスのフォークストンとフランスのカレーを結ぶ鉄道用海底トンネル「英仏海峡トンネル」が開通しています。このトンネルを通るユーロスターを利用すれば、ドーバー海峡を渡ることが可能です。
英仏海峡トンネル内は制限速度(160㎞/h)が設けられていますが、わずか20分程度で通り抜けられるため、イギリスとフランス間を移動する観光客にとっても便利で快適な交通手段となっています。
ドーバー海峡に悠然と立つ白い崖
イギリスとフランスを隔てるドーバー海峡では、「白い崖」が有名です。白い崖とは、イギリスのケント州にあるドーバー海峡に面した石灰岩でできた全長100㎞にも及ぶ白い断崖です。
イギリスは歴史的に大陸からの侵略に何度も脅かされてきた土地だったため、高さ100mにも達する白い崖は、古くからユーラシア大陸に対峙するイギリスの象徴的な存在となっています。なお、フランス側のアラバスター海岸にも同様の白い崖が存在し、2つはもともとひとつの地層であったと考えられています。
ドーバー海峡を渡る際、飛行機が活躍するまで船が大陸との主要な交通手段でした。そのため、白い崖はイギリスを訪れる人が最初に見るイギリスの景観であり、同様にイギリスを去る人が最後に見るイギリスの景観でもありました。まさに、イギリスの「壁」としてドーバー海峡の歴史を見届けてきたのが白い崖です。
このようなドーバー海峡が紡いできた歴史に浸りながら、ロマンあふれる旅を楽しむには、ドーバー海峡を航行するクルーズがおすすめです。
【2026年】ドーバー海峡を航行するクルーズプラン紹介
最後に、ドーバー海峡を航行するおすすめのクルーズプランを紹介します。それは、2026年に世界一周の運航を予定している『パシフィック・ワールド号』で行くクルーズプランです。
地球一周の船旅 2026年4月 Voyage123(北極航路 ヨーロッパ&中米コース)
ル・アーブル(フランス)からセーブルージュ(ベルギー)へ航行する際にドーバー海峡を通過する世界一周クルーズです。
コースの最大の特徴は、一日中太陽が沈まない白夜を迎える6月に北極を航行できる点です。航行中は、北極航路開拓と北極点到達をめざし、数々の冒険家や探検家が通ったであろうロマンあふれる氷の海が望めます。
フィヨルド遊覧を含めて、北極圏最大の街トロムソ(ノルウェー)やフィヨルド観光の玄関口ホニングスヴォーグ(ノルウェー)、豊かな自然が体感できるレイキャビク(アイスランド)など、北極圏のさまざまな都市にも寄港。北極の魅力を余すことなく満喫できるのがこのコースの魅力といえるでしょう。
また、香港やシンガポールといった近代的な街並みが望めるアジア、世界遺産観光が楽しめるバルセロナ(スペイン)やアムステルダム(オランダ)などの都市に寄港するヨーロッパ、リゾート気分が味わえるマンサニージョ(メキシコ)やクリストバル(パナマ)を訪れる中南米など、世界一周ならではの充実の内容です。ドーバー海峡を航行するだけではなく、世界の絶景を楽しめるおすすめのコースです。
地球一周の船旅 2026年8月 Voyage124(地中海・中南米・南太平洋コース)
ラ・ロシェル(フランス)からレイキャビク(アイスランド)へ向かう途中にドーバー海峡を航行する世界一周クルーズです。
コースの最大の特徴は、アイスランド周辺を航行中に5夜連続でオーロラ鑑賞のチャンスがある点です。洋上の暗闇に突如現れる光のカーテンはまさに神秘的で、きっと一生忘れられない素敵な思い出になるでしょう。
他にも、世界三大運河に数えられるスエズ運河とパナマ運河の両方を航行します。近年ビーチリゾートで注目を集めているダナン(ベトナム)をはじめ、青と白のコントラストが美しい世界有数のリゾートアイランドのサントリーニ島(ギリシャ)や、「7つの丘の街」とも呼ばれ大航海時代の最重要都市リスボン(ポルトガル)、世界経済の中心地で世界最高峰のエンターテインメントが楽しめるニューヨーク(アメリカ)、南太平洋の楽園とも称されるパペーテ(タヒチ島)、巨石モアイ像に守られた島イースター島(チリ)などにも寄港し、世界の絶景を一度に堪能できます。