古くから人びとが海をわたり文化を融合させてきたヨーロッパ。2024年初夏のピースボートクルーズに同行した航海作家・カナマルトモヨシさんが、船旅だから体験することができる、その場所の楽しみを綴りました。

北緯38度43分。新潟、仙台とほぼ同緯度にポルトガルの首都リスボンはある。ヨーロッパの船旅は、大航海時代を世界にもたらし、戦国の日本に南蛮渡来ブームを巻き起こした国より始まる。その港からザビエルが東洋に旅立ち、天正遣欧使節の4人の少年が欧州に第一歩を記した。そんな過去と、街角でイワシを焼く光景を見かけることで、日本から遠く離れた街なのに、どこか懐かしさを感じさせる。出港したパシフィック・ワールド号はテージョ川を下り、大航海時代の栄華を現在に伝える世界遺産・ジェロニモス修道院やベレンの塔をみながら大西洋に乗り出す。

リスボンならではの急こう配の坂道も、名物の黄色いトラムが来ると、たちまち撮影名所に変わる。

ユーラシア大陸の最西端にあるロカ岬は「地の果て、海の始まり」としても有名だ。