海と海をつなぐ、パナマ運河を渡る
南北に広がるアメリカ大陸を結ぶかのように位置する、中米パナマ。パナマの名を世に知らしめているのが、海上交易の要所パナマ運河です。世界の海運の歴史を塗り替えるほどの偉業でありながら地図上では一本の細い線でしかないこの場所を、実際に船で通航し、そのスケールを体感します。そしてこの地で文化や習慣を守りながら暮らす、まだ見ぬ人びととの出会いも楽しみです。船だからこそ訪れることのできる場所へ——探求心と好奇心を携えて。
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文・構成 / 編集部 写真 / PEACE BOAT
システマティックな通航劇
世界に知られるパナマ運河は南北アメリカを結ぶ「地峡」と呼ばれる最狭部を開削し、大西洋と太平洋をつなぐ運河として建造されたもの。途中、内陸部には海抜26mのガトゥン湖があり、そこにたどり着くまでの標高差を超えるため閘門(水門)が設けられています。2016年には拡張工事も完了し、超大型コンテナ船等も通航可能となったことからパナマ運河の重要性は更に増しています。今日は私たちも閘門や人工湖をつなぐ全長80kmを、水や電気の力を駆使しながらたっぷり8時間かけて通航します。船のデッキにはこれから始まる通航劇を見届けようと、大勢の人たちが集まってきました。
船が上昇!?高低差26mの水の階段
細い水路に船が入るとエンジンが切られ、両側の陸地を走る専用の電気機関車が船を牽引します。水路は閘門で仕切られ、さながらプールに浮いているかのような状態に。ここに水を注水して水面の高さを調整しながら船を上昇させ、開門すれば次のステージへ。まるで階段を昇るように高低差をクリアしていくのです。段々と水位が上がり閘門が開くたび、船のデッキで固唾をのんで見守っていた人たちからは「おぉ!」というどよめきも聞こえます。細い水路を抜けるとガトゥン湖へ。船はゆるやかに水の上を進み、周囲に広がる鬱蒼としたジャングルからは時折動物の鳴き声も聞こえてきます。
船旅の醍醐味、ここにあり
ガトゥン湖は寄港中のオプショナルツアーでも訪れることができます。運が良ければナマケモノやサル、イグアナやワニの姿を見ることもできるんだとか!双眼鏡片手に、仲間と語らいながら、またとない雄大な光景に見入ります。システマティックな通航シーンと大自然の中の遊覧をたっぷりと堪能しながら、気づけば船はパナマを横断し新たな海へとたどり着きました。時間に逆らわずゆっくりと、自分の五感に刻みこむようにパナマ運河のスケールを体感する——「見ただけ」「行っただけ」ではない、身体すべてで感じる船での旅は、たくさんの気づきを与えてくれます。
大自然とともに生きる人びとを訪ねて
パナマ運河通航の際に寄港するのが、パナマの大西洋側に位置する港町クリストバル。 この町から訪ねるのは、電気やガスを使わず、ほぼ自給自足に近い生活を営むエンベラ族の村です。ボートに乗りジャングルの中を進むこと30分、かやぶき屋根の家々が見えてきました。到着するなり村人総出で出迎えてくれます。村の中を案内してもらい、部族伝統の楽器の演奏やダンスを披露してくれる場面も。途中からは私たちも一緒になって踊り、楽しい時間を共有します。言葉も、生きてきた環境も異なる私たちが共に笑い、手を取り合える体験はピースボートの交流ツアーならではの時間です。
「太陽をまとった人びと」との出会い
そしてもうひとつ、クナ族との出会いも忘れられません。人口350万人のパナマには現在でも7つの部族が存在しますが、クナ族は「モラ」と呼ばれる工芸品をつくることで知られています。モラはクナ族の伝統衣装にも使われる美しい布製品。アップリケのように幾重にも布を重ね、絵を描くように糸で縫い留めるなど技巧を凝らし自分たちの守ってきた文化を表現しています。そのビビットな色合いも特徴的で、モラを身に着けたクナ族の人は「太陽をまとった人びと」とも呼ばれます。おおらかで自由、繊細で美しいデザインからは、想像力の豊かさと自然への畏敬の念が伺えます。
旅が生んだ、心のつながり
ピースボートクルーズではモラの伝統技法をワークショップとして学べるツアーを実施していますが、実はこれはとても貴重な体験。本来、クナ族の人がモラの技法を部族以外の人に教えることはありません。それは、自分たちの技法に誇りをもち、宝物としているから。それでも長年の支援活動をとおしてつながりを保ち続けた私たちのために、友好のしるしとしてこのツアーが実現しています。クナ族の人と一緒に針を動かし、顔を見合わせ頷き合いながら布を重ねる——そんな温かなひとときを経て、ともに過ごした時間が生んだ想い出のモラができあがりました。
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